受容体サブタイプの選択性と臨床的影響についての考察

受容体の臓器選択性については、標的組織に対する選択性が高いことが製品情報概要等で示されていることがあるが[1]、この倍率がin vivoにおける受容体占有率の倍率は同じでないことに注意が必要である。受容体の占有率(Φ)は一般に、血漿中非結合形薬物濃度/(受容体解離定数(Ki)+ 血漿中非結合形薬物濃度)で予測できるとされている。例えば、タムスロシンの前立腺平滑筋α1受容体のKiと血管平滑筋α1受容体のKiは10倍以上の差がある。しかし、臨床用量服用した際の前立腺平滑筋におけるα1受容体占有率は、前立腺平滑筋α1受容体のKiと血漿中非結合形薬物濃度から約90%であることが報告されており[2]、この濃度から血管平滑筋におけるα1受容体占有率を推定すると約43%となり、それなりに血管平滑筋にも作用していることが考えられる(図)。したがって、実際に血圧低下作用が認められており、高齢者や多剤併用下などでは、薬物クリアランス低下や、血圧低下の感受性の亢進などが起きていることがあり、更に注意が必要であると考える。

 

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  1. Yamada, S., et al., Comparative study on alpha 1-adrenoceptor antagonist binding in human prostate and aorta. Clin Exp Pharmacol Physiol, 1994. 21(5): p. 405-11.
  2. Ito, K., H. Ohtani, and Y. Sawada, Assessment of alpha1-adrenoceptor antagonists in benign prostatic hyperplasia based on the receptor occupancy theory. Br J Clin Pharmacol, 2007. 63(4): p. 394-403.