チーム医療における薬剤師のプロフェッショナリズム

プロフェッショナリズムは、専門職の姿勢・構え・行動様式であり、健全な倫理観が必要である。基本的には科学性・人間性・社会性の要素があり、これらが具現化するのが医療現場である。チーム医療における薬剤師のプロフェッショナリズムの観点からは、まず薬学的視点・思考に基づいて、主体的に薬物療法に関わる独自性が重要である。その独自性を活かして他職種と協働するためには、薬学以外の知識や、コミュニケーション能力なども必要となる。さらに、チーム医療において共鳴行動を行うためには態度と情熱(逆に冷静さ)も重要であろう。医療におけるプロフェッショナリズムは、社会の視点や他職種との相互作用の中で考えることも必要である。

 

受容体サブタイプの選択性と臨床的影響についての考察

受容体の臓器選択性については、標的組織に対する選択性が高いことが製品情報概要等で示されていることがあるが[1]、この倍率がin vivoにおける受容体占有率の倍率は同じでないことに注意が必要である。受容体の占有率(Φ)は一般に、血漿中非結合形薬物濃度/(受容体解離定数(Ki)+ 血漿中非結合形薬物濃度)で予測できるとされている。例えば、タムスロシンの前立腺平滑筋α1受容体のKiと血管平滑筋α1受容体のKiは10倍以上の差がある。しかし、臨床用量服用した際の前立腺平滑筋におけるα1受容体占有率は、前立腺平滑筋α1受容体のKiと血漿中非結合形薬物濃度から約90%であることが報告されており[2]、この濃度から血管平滑筋におけるα1受容体占有率を推定すると約43%となり、それなりに血管平滑筋にも作用していることが考えられる(図)。したがって、実際に血圧低下作用が認められており、高齢者や多剤併用下などでは、薬物クリアランス低下や、血圧低下の感受性の亢進などが起きていることがあり、更に注意が必要であると考える。

 

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  1. Yamada, S., et al., Comparative study on alpha 1-adrenoceptor antagonist binding in human prostate and aorta. Clin Exp Pharmacol Physiol, 1994. 21(5): p. 405-11.
  2. Ito, K., H. Ohtani, and Y. Sawada, Assessment of alpha1-adrenoceptor antagonists in benign prostatic hyperplasia based on the receptor occupancy theory. Br J Clin Pharmacol, 2007. 63(4): p. 394-403.

 

以前投稿した似た講演のバージョンアップ版要旨 これからのDI業務を考える -病棟薬剤業務との連携-

 医薬品の情報提供活動(DI活動)を料理に例えるのであれば、大切な人に食べさせたいと思う美味しい晩御飯を提供するために、その人が美味しく食べてくれているのをイメージして、作り方を本で調べたり聞いたりして、必要となる食材と調理器具を用意して、その人の好き嫌いも考えて、一生懸命料理して、出来上がった料理を楽しんで、その経験を次の晩御飯に活かすといった感じでしょうか。すわなち、その医療機関やその患者さんにおいて、必要なことや治療の目標のために、そのことをイメージして、必要となる医薬品情報を収集して、吟味して、施設の特徴や患者の背景等も考慮して、個別に適用・応用し、出来る限り最良な状態にした情報として提供し、そのアウトカムを評価して、次の対策や治療などに活かしていくことではないでしょうか。

もし、DI活動に求められるものが信頼性の高い情報の画一的な一方向性の提供だけと言うことであれば、医療機関毎に医薬品情報室がある必要性や病棟に薬剤師がいる必要性は低く、今後の情報通信技術(ICT)の進歩によってますます必要なくなるでしょう。情報の質や量は情報そのものが持つものですが、その情報の重要性は状況によって異なり、その情報の質や量の有用性も状況により異なります。この状況とは、患者個別の状態もあれば、医療機関の特徴などもあります。したがって、例えば公的に発出された安全性情報でも、その重要性はその医薬品の医療機関での使用状況などによっても異なります。効果的な情報周知の方法も医療機関の規模や特性などによって異なります。あるいは、その情報をどの程度加味する必要があるかは患者さん個々で異なります。

まさに、このことが現在の病棟薬剤業務実施加算でも求められている「必要な情報を必要な人へ」ではないかと思います。そのために、病院という施設のなかにおいて、患者個別に最適な薬物療法を提供すべく、個々の薬剤師としての病棟の患者さんや医療スタッフへのDI活動や、薬剤部(DI室)としての薬剤師や施設内の医療スタッフへのDI活動が重要になると考えています。すわなち、薬剤師個人として、患者個別に対応したミクロ的なDIリテラシーと、薬剤部や医療機関として対応するマクロ的なDIリテラシーの双方が重要であり、その体制作り(自己研鑽や教育やマネジメント)が必要となります。

さて、承認された医薬品は既に規制当局において審査(評価)がなされたものです。それを、なぜ医療機関(病院)でも評価する必要があるのでしょうか。それは、医薬品が医療機関で適切に使用されるためには、まずその医薬品をよく知る必要があるからです。そして、承認時には不足している情報は市販後の情報を監視し、その医薬品の情報をアップデートしていくことも重要です。私は医薬品を評価する際に、多面的な視点により一般化と個別化を行うことを心がけています。当院では、明確なあるいは特別な宣伝許可制というものはありません。医薬品情報はメーカーも持ってきますが、そのほか、メディナビ、国内外の公的サイトのチェック、SNSなども利用して、能動的かつ受動的に収集しています。新医薬品の情報収集の一つの手段として、メーカーからのヒアリングも行いますが、バイアスも生じます。バイアスが生じることは仕方のない事だと思っています。ですので、メーカーからのヒアリング以外にも審査報告書や海外での報告、文献報告なども含めて自分の目で確認し、自分の頭で考え直すように気をつけています。また、大事なことは評価することが目的ではないことです。評価は適切な使用のための手段であり、適切な使用のための対策に役立てなくてはいけません。評価の結果、対策を講じることも検討しなくてはいけません。したがって、薬事委員会では採用の可否だけでなく、採用した際の安全対策などについても検討されます。その安全対策などの案の作成もDI室の業務となります。

これからのICTの進歩のなかで、薬剤師としてどのように医薬品情報の活用に関われば良いのでしょうか、病棟薬剤業務で薬剤師としてどのようなDI活動を行うべきでしょうか、DI室は病棟の薬剤師とどのように連携すればよいのでしょうか、私自身試行錯誤で悩んでいます。本講演を通して、皆様と一緒に考えさせて頂きたいと思います。

40歳からの理想と現実とアル中

僕は何がしたいのだろう。どうしたら良いのだろう。家族のために、社会のために、そして自分自身のために。今がそれなりに幸せで満足である。いや、それなりにでなくて、かなり幸せで満足している、仕事の内容以外は。仕事の内容だけは、時にとんでもなくツライことがある。本当に何もかも投げ出して逃げ出したくなるくらいツライことがある。なぜツライかというと、やるべき仕事が自分のキャパを超えているのと、自分の力や努力でどうなるものではない問題があるからである。40を過ぎて自分の限界が見えてきて、40を過ぎて気持ちや気合いも衰えてきて、社会の問題点や限界や負の現実ばかりが見えてくる。それを乗り越えるためには、きっと学力的にも人間的にももっともっと向上しなければ次のステップに行けず、火事場のくそ力も出せなくなってきて、理想のレベルにまで今から向上するのはどう考えても無理だと自覚してきて、ついつい守りの道を選び、それでもちょっぴり無理な理想は持っている。もう職場には夢を語り合える同世代もいなく、愚痴を聞いてくれる先輩もいない。そして、まだ上司に甘えて今を生きている、そんなツライ時期ですね。40過ぎのオッサンの自分には。

そいうことで、20代も、30代も、40代も、相変わらずネガティブ思考とポジティブ思考の狭間で生きており、お酒がやめられないアル中なのである(笑)。このままじゃ本当にヤバいな。次のステップに行かなくては。

ということで、何としても楽しむぞ、人生後半戦。コノヤロー。でも、肩の力は抜いて、やっぱり自分らしく自然にいこう。と相変わらずとことんウザい文章で終える。

5月病第二弾

久しぶりの飲み会。といっても、また新たな領域の外部組織の会議にデビューして、懇親会でした。正直、もうこれ以上会議の仕事は増やしたくないし、新たな領域はストレスで鬱の要因で今日も朝から憂鬱でした。会議は案の定、自分は立場も専門もアウェイ。具体的にいえば、製薬メーカーのデータサイエンス部門(統計や疫学)がメインのメンバーです。でも、だからこそ、出なきゃわからない、懇親会しなきゃわからない事が沢山あり、それは大切な経験で、新たな知識や、価値観が、あるいは問題点の発見、思考が生まれます。僕みたいな実力ないのに立場が与えられた人の、何かの運命かなと、こういう経験だけは、本当に僕特有の財産なんです。そして、また人と人の繋がりを感じました。世の中変えたければ、立場の違う人との対話をすることなしには絶対変わらないと感じましす。みんなそれぞれ信念、価値観、正義感があるんですよ。もちろん自分自身の意見も大事です。でも、いつも、仲良しだけで集まって満足しても、遠いところから強がっても、文句言っても世の中変わらない。ということで、一人二次会して反省会ちう。辛かったGW明けの5月病の、1週間がやっと終わった。明日は千葉で講演だあ…

GW明け2日目の5月病

久しぶりのアップです。

GWが終わり、すっかり5月病で憂鬱です。

1月からなんちゃって管理職となり意気込んでいたものの、

所詮やっぱり僕レベルというのがよーくわかり、どんどん立場が重圧となってきました。

なんちゃって管理職になって、よーくわかったのが、やっぱり自分には向いていない、そして、自分のような人は管理職からみたら実に厄介な存在の部下だったということである。僕の部下が僕だったらもっと鬱になるだろう。だから管理職になったのかもしれない(笑)。

そんなんで、鬱々していたのだが、部下たちは僕よりもっと大変なのかなとちょっと気が付いてきて(こういう最悪な上司である自分は)、ますます鬱になったが、同時になんとかしてあげたいと思ったのである、あらためて。今更であるが。。。

ちなみに僕の上司らも僕とは比べ物にならないくらいもっと大変である、、、

あかん、ということで僕は本当にダメダメなヒトである。

なんとかしたい。もっと素晴らしい職場となるように。いや、なんとかしないといけない、、、そのためにやっぱり頑張ろうと思った5月病のGW明け2日目の夜。うん、僕の鬱具合はまだ末期ではなさそうだ。少しは強くなったのか、昔の最低の時期から思えば。

さあ、明日から頑張ろう。でもやっぱり、無理はしないように気を付けよう、いつかの時みたいにはならないように気を付けて、僕が本当に鬱になったらもっと迷惑かけるし職場にも、そして家族にも。

とあるシンポジウムの趣旨と自分の発表要旨の案

とあるシンポジウムの趣旨と自分の発表要旨の案

相変わらず、過去の自分の執筆物を利用したもので進歩がない。。。

当日までにはもうちょっと考えよう。。。

 

拡大する薬剤師業務と医薬品情報業務の連携

- エビデンス創出のための医薬品情報 -

薬剤師は、今までも社会・医療環境の急速な変化に対応するために、ニーズを自らも創り、職能の範囲・役割を変化・拡大させることにより、困難な状況を乗り越えてきたと思います。しかし、目いっぱいの業務展開をしてきて、その投入資源が決して十分ではないことから、薬剤師にも膨大な仕事量が圧しかかっており、行うべきとされる薬剤業務を十分に展開できていない医療機関も少なくないのではないでしょうか。様々な要因が複雑に絡み合った問題かもしれませんが、さらに薬剤業務を発展させて、患者の薬物治療に貢献するための本質的な戦略は1つしかない気がします。それは、「(有能な)薬剤師」の存在が薬物治療の質の向上に必要不可欠であるとのエビデンスを創ることです。そのエビデンス創りこそが、「ニーズ創り」他なりません。少し古い話になってしまいますが、その「ニーズ創り」を後押ししてくれるものとして、平成22年4月30日に厚生労働省医政局通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」が発出されました。本通知では、各医療機関に対して、多種多様な医療スタッフが各々高い専門性を前提とし、目的と情報を共有し、業務を分担するとともに互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供する「チーム医療」を推進していくことを求めています。そして特に、薬剤師については、チーム医療において薬剤の専門家である薬剤師が主体的に薬物療法に参加することの有益性を指摘するとともに、薬剤師が取り組むべき業務例が挙げられています。すなわち、これから私たちが行うべきことは、膨大な医療情報の中でも、薬学的観点を持っている薬剤師だからこそ扱える医薬品情報を武器にして、主体的に薬物療法に関わり、その効果を証明することではないでしょうか。

 本シンポジウムでは、医薬品情報をキーワードに、病棟における薬剤業務、周術期・手術室における薬剤業務、医薬品情報室における業務、そして医療現場からの医薬品情報研究についての発表を通して、拡大する薬剤師業務と医薬品情報業務の連携について、皆様と一緒に考える場になればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 医療現場からの医薬品情報研究と情報発信

なぜ、医療現場から医薬品情報に関する研究と情報発信をする必要があるのかを考えてみたいと思います。医薬品情報に関する研究を医療現場で行うことの最大の理由は、現場視点を持っていることだと思います。現場視点で問題点を抽出して、現場視点でその問題解決の着地点を考え、それを社会に伝え、患者のために貢献すること、それに尽きると思っています。そのマインドが医療現場で研究をするモチベーションとなります。逆に言えば、それ以外の観点からは大学などと協力することも重要だと考えています。なぜなら、医療現場にいると問題点や解決へのアプローチに対して俯瞰的に視ることが難しくなる点が危惧されます。また、研究のノウハウを医療現場だけで向上させるのは難しい現状もあると思います。大事なのは手段ではなく、目的を達成することです(ただし、方法論は大事です)。

それでは、医薬品情報に関連した研究とは何でしょうか。私のなかでなんとなく思っているのが、点の医薬品情報を理論的に線で繋いで(関連づけて)、より価値のある新しい医薬品情報を創りだしたり、伝えたりすること、あるいはそれらの仕組みを創ることです。それが今の私にとっての医薬品情報に関する研究です。そして、当たり前ですが、価値のある医薬品情報とは最終的に患者のために回帰するものです。

これらの考えは最初からあったわけではありません。医療現場で研究を教わり、研究を続けてきたなかで、自分で感じとってきたものです。私が今まで研究を続けることが出来た理由は、指導者と協力者と環境に恵まれていたこと、そしてそれらに巡り合えた運があったからだと思っています。しかし、当初の私が研究することの主な目的は、研究も出来るかっこいい薬剤師になりたいとか、学位を取りたいという下心でした。そんな下心が強かったおかげで研究を続けられた側面も強いです。でも最近は変わってきています。社会や医療のために薬剤師としてもっと本質的に役に立たなければいけない、それがこれからの私の研究をする大きな目的、そして目標であり、課題です。現場の薬剤師として研究を始めて18年が過ぎました。医療現場における医薬品情報に関する研究の意味、それを探し続けること、伝えることにきっと大きな意味があると思っています。医療現場では関われば関わるほど、問題点が見えてくるはずです。医療現場の薬剤師は、その問題点を抽出して解決のために研究をしたり、情報発信をする使命があるのではないでしょうか。それが薬剤師だから創れるエビデンス、薬剤師が必要であるエビデンスに繋がると信じています。